オンライン日本語教師におすすめ!日本人へのEJU指導!?

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外国人留学生が日本の大学への進学を希望する際、多くの場合EJUの受験が課せられます。

本来「外国人留学生」が受験するこの試験ですが、「日本人」の受験も必要になる可能性が出てきました。

今回は大学受験の最新情報も含めて、オンライン日本語教師としての可能性について解説します。

※「EJU」と「日本留学試験」は同じものです。この記事では、「EJU」で表記を統一して説明します。

EJUとは

日本留学試験は、外国人留学生として、日本の大学(学部)等に入学を希望する者について、日本の大学等で必要とする日本語力及び基礎学力の評価を行うことを目的に実施する試験です。 

https://www.jasso.go.jp/ryugaku/eju/index.html

簡単に説明すると、EJUとは日本」へ「留学」するための「試験です。

日本国外の高校を卒業した者や大学生などが、日本の大学へ留学生として進学するために受ける試験で、外国人留学生版の共通テスト(旧 センター試験)とも言えるでしょう。

※細かい話は割愛します。

本来、“外国人留学生として、日本の大学入学を希望する者”が受けるこの試験、なぜ日本人の受験が必要になるのでしょうか? 以下、解説していきます。

外国人留学生へのEJU指導

まずは、留学生として日本の大学進学を目指す人たちへの指導です。

こちらは主に、日本語学校の進学コースなどで行われており、EJU対策や留学生の大学受験対策を中心に行なっている、留学生専門の学習塾(予備校?)なども聞いたことがあります。

私は高校で働いていたとき、留学生(高校生)に対してEJU対策を行っていたことがあり、フリーランスになってからもオンラインで個別指導をしたことがあります。

試験内容

  • 日本語
  • 理科(物理・化学・生物)
  • 総合科目
  • 数学1・数学2

EJUには以上の科目があり、受験生は理系か文系か、または受験校の出願条件に合わせて科目を選択します。

ちなみに「総合科目」とは社会科の科目で、内容は政治・経済・社会・地理・歴史です。

特徴

EJUの特徴として、5点説明します。

試験は6月11月の年2回

日本語能力を測るための試験としてよく使われている、JLPT(日本語能力試験)が7月12月なので、その前月に行われると覚えると良いでしょう。

※JLPTは「日本語」のみの試験です。EJUのように理科や数学などの科目はありません。

年2回受験のチャンスがあるのは良いことですが、11月の受験では大学の出願に間に合わないことがほとんどです。

ですので実質1回、または前年の11月に受験すると考えて、早めにそして計画的に勉強する必要があります。

評価方法は点数

成績は点数で出るので、○級合格/不合格といったことはありません。

EJUの日本語の試験は、記述、読解、聴解・聴読解合わせて450点で、220点以上(JLPT N2相当)を出願条件としている大学が多いです。

出願条件=最低ラインなので、270点ぐらいはないと、他の受験生とは戦えないでしょう。

出題言語を日本語か英語で選べる

「日本語」以外の科目は、出題言語を選択することができます。

ただし大学によっては「出題言語は日本語で」と条件を設けているところもあるので要注意です。

英語プログラムを設けている大学や、イマージョン教育を推進しているような大学の場合は、英語での受験も可としているところがあります。

ただし、大学入学後に日本人と同じように日本語で授業を受ける場合は、やはりそれなりの(と言うかかなりの)日本語レベルが必要になります。

受験地は日本+世界14カ国

日本国内だけではなく、以下の14カ国でEJUを受験することができます。

インド、インドネシア、韓国、シンガポール、スリランカ、タイ、台湾、フィリピン、ベトナム、香港、マレーシア、ミャンマー、モンゴル、ロシア

コロナや世界情勢などの影響により、実施していない国年1回の開催国もあるので、確認してください。

成績優秀者には奨学金あり

正式名称は「留学生受入れ促進プログラム予約制度」と言うそうですが、月額48,000円を1年間もしくは半年間もらえるとのこと。

うまくいけば、大学在学中の学費や生活費が工面できる可能性もあります。

留学生にEJUが課される理由

外国人留学生がこの試験を受ける理由としては、日本の大学で必要とされる日本語力や基礎学力があることを証明するため、でしょう。

大学での勉学だけでなく、日本での生活に困らないためにも、基礎的な日本語力・学力は必須と言えます。

また、海外在住の学生の場合は、物理的に日本で共通テストを受験することは難しいので、そのようなニーズに対応するためにも、EJUが存在しているのではないでしょうか。

「外国人留学生が日本の大学に進学する方法」について、詳しくはこちらをご覧ください。

日本人帰国生へのEJU指導

日本人もEJU受験が必要になる可能がある」というのは、日本人の「帰国生」に関する話です。

「帰国生」とは

いわゆる「帰国子女」で、大学によっては「海外就学者」や「海外ルーツ」などの名称を使っています。

日本の高校3年生にあたるYear12-13もしくはその前後の学年の、海外で教育を受けてきた受験生が、日本に帰国して大学進学したい、というニーズです。

早稲田、慶應、上智、中央、ICUなどの「帰国生入試」を受験する学生が非常に多いです。

※名称は大学によってそれぞれですが、ここでは「帰国生入試」に統一して説明します。

これらの有名大学は当然難関ですが、それに対応できる「帰国生入試対策」を行っている学習塾や予備校は、そう多くはありません。

私はその数少ない、帰国生を対象としたオンライン個別指導塾に籍を置いて、3年になります。

帰国生入試

大学や学部、入試形態によって試験内容は様々”ということは大前提ですが、多くの大学で必須となっているのは、

  • 志望理由書(書類)
  • 小論文試験
  • 面接試験

の3つです。最近は出願書類の中に、活動報告書エッセイの提出を課す大学も増えている印象です。

活動報告書は、海外生活の中で参加した活動(ボランティアやクラブ、コンテスト等)について説明し、そこで学んだことを書きます。異文化理解コミュニケーション能力、日本では得られない特別な経験と、それを大学在学中もしくは将来にどのように活かすかを書きます。

エッセイは、事前にテーマや課題文が与えられ、それについて小論文を書いて提出します。リアルの試験会場で行う小論文試験よりは、解答作成にかけられる時間は長いですが、その分テーマが重く非常に難しいです。すでに持っている知識だけではなく、テーマに関するリサーチ力文章構成(校正)力も問われているのではないでしょうか。

これからの帰国生入試

2020年度に「大学入試改革」が行われ、その後各大学による独自の入試でも随時改革が行われているようです。

ここで、早稲田大学を見てみましょう。

早稲田大学では、2025年度入試から全面的に「帰国生入試」を廃止するとの発表がありました。

つまり「帰国生が帰国生として」受験する場合は、「外国学生のための学部入学試験」を受験することになりそうです。

※2023年7月現在での情報であり、変更になる可能性は十分にあります。

外国学生入試」を受験する者には、EJUもしくはJLPTの受験が課されます。

「外国学生入試」は、外国人留学生の受験を前提にしているからです。

その他の試験内容や出願書類については来年度の募集要項が発表されるまで詳細はわかりませんが、少なくても帰国生が「帰国生であること」を活かせる入試ではなくなると考えられます。

そして外国人留学生にとっても、日本人のライバルが増えるのでメリットはあまりなさそうです…。

※これらに加え、早稲田大学では政治経済学部独自の入試としてグローバル入試(=海外就学経験者入試)というものが行われています。

これまで「帰国生」は、海外の教育課程での学びその経験、そして語学力が評価されて進学するパターンがほとんでした。

早稲田大学に関して言えば、「外国学生入試」で帰国生にもEJU受験が課されることによって、すべての学生に「日本の教育課程で学んできた日本人学生と同等の学力」が求められているような気がします。なんだか残念です。

帰国生にEJUが課される理由

なぜこのようなことが起きたのでしょうか?本当のことは分かりませんが、私なりに考えてみました。

日本語能力を測るため

EJUの実施目的は以下の通りです。

日本の大学で必要とされる日本語能力と基礎学力を測る。

https://www.jasso.go.jp/ryugaku/eju/index.html

基本的には日本人である帰国生に対して、「日本語能力を測る」必要はないのでは?と思うかもしれませんが、実はそうでもありません。

帰国生入試」を受ける学生のほとんどが、海外経験とりわけ英語力を武器に受験・入学します。

彼らの家庭内言語は日本語であることが多いので、日常生活や会話(生活言語能力, BICS)はほとんど問題ないのですが、学習言語としての日本語(CALP)には個人差があるように思います。

英語では言えるんだけど日本語で表現できない志望理由書や面接での適切な言葉遣いがわからない、という受験生もしばしばです。

両親どちらかが外国人だったり、海外経験があまりにも長いとより顕著に現れます。

そういった観点で言うと、「日本語能力」があることは前提に、しかし一応「測る」ことはあながち的を外してはいないのかなと思いました。

帰国生と他学生の学力差が大きい

EJUには理科総合科目(社会)・数学の科目もあります。

日本の教育課程で学び、共通テストに向けて受験勉強をしてきた学生と、日本の教育方針や学習内容とは異なる場所で学んできた学生とでは、学力差が生まれることは容易に考えられます。

どちらが高い低い/いい悪いという話ではなく、学んできた内容が違うのだから、そもそも同じ尺度で測れるものではないと思います。

日本のような知識インプット型の教育を受けてきた学生と、たとえばIBなどの協働学習探究型の教育を受けてきた学生では、問題に対する根本的な捉え方、考え方が違います

また、国によってカリキュラムが違うので、学習内容にも大きな差があるでしょう。

例えば歴史政治系の授業を海外で受けてきた場合、日本に関するそれらの情報はかなり限定的なものなのではないでしょうか。

そういった学生が、日本の政治学部や史学部で学んでいくのは、かなり苦労すると思います。

その差を埋めるためにも、留学生版の共通テストとも言えるEJUを出願条件とするのは、ある意味妥当な対策とも言えます。

記述試験を小論文の代わりに?

「帰国生入試」では、ほとんどの場合小論文試験が課されます。

そしてEJU日本語の試験には、記述問題が含まれます。

これを小論文試験の代わりとすることで、大学側の試験問題作成や採点などのコスト削減ができる、ということも考えられます。

ただし、EJU受験に加えて、大学側で行う独自の試験で小論文を課してくる可能性は十分にあるので、現段階ではなんとも言えません。

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※以上3つの理由を考えてみましたが、これはあくまで私の考えであり、特に根拠などはありません。参考までに、ということで悪しからず。

帰国生へのメリット

しかし決して悪いことばかりではありません。帰国生がEJUを受験するメリットもあります。

EJUは年2回受験のチャンスがあるし、高3生だけが受けられるものでもありません。望めば何年、何度でも挑戦することができます。年1回の共通テストを受験する学生より、チャンスがあるとも言えなくはないです。

それからEJUを勉強・受験しておくことで、大学入学後に周りの学生との学力差に悩むことも減ると考えられます。「帰国生入試」に限らず、推薦や総合型選抜(旧 AO入試)等で入学してきた学生も、一般選抜のためにガリガリ勉強してきた学生を目の前にすると引け目を感じてしまう、なんてこともよくある話です。

さらにEJUの「日本語」以外の科目は、出題言語を選ぶことができます。英語で受験することも可能なので、英語で教育を受けてきた学生にとっては、もしかしたらそれが有利に働くかもしれません。ただし自分が教育を受けてきた国と日本での学習内容が異なる可能性も高いので、出題範囲は要確認です。

※大学によっては、「出題言語は日本語で」と条件をつけている場合もあります。募集要項を必ず確認してください。

それからEJUの「日本語」試験の中には記述問題があるので、本番の入試を受ける前に小論文の練習ができます。これは少し、ポジティブに考えすぎでしょうか;

オンライン日本語教師ができること

先にも述べたように、「帰国生入試」対策を行っている学習塾・予備校などは、そう多くはありません

帰国生は駐在員の家族帯同か、子どもが単独で海外留学しているパターンが多いです。

日本の学校とのコネクションがなく、さらに海外からだと「帰国生入試対策」としてアクセスできる場所はほとんどありません

オンラインで受講できて、日本人帰国生にもEJUを教えてくれる」塾や人は、極めて少ないでしょう。

そこで、我々オンライン日本語教師がそのポジションを取ることができれば…!!

日本語学習者に対してだけではなく、日本人の帰国生に対しても、EJU対策から受験対策(志望理由書・面接)までをトータルサポートできると、唯一無二の存在になることができます。

受験の総合サポート

「帰国生入試」は、「総合型選抜(旧AO入試)」の形態と似ています。

ご自身またはご自身のお子さんの受験経験や、就活で志望理由書を書いたり面接を受けた経験が役に立ちます。

また、日本の専門学校や大学で学んだことがある方は、受験対策そのものだけではなく、「ゼミって何?」「専門必修科目って?」「サークルはどうすれば?」というような疑問にも答えることができます。

自分の経験を活かすことができるのです。

もしそれらの経験がなくても、リサーチ力があれば受験サポートは可能です!

受験は情報戦

「帰国生入試」で必要になる志望理由書小論文面接などの対策本は、本屋に行けばたくさん売っています。

YouTubeブログにあたれば、関連のコンテンツがわんさか出てきます。進路指導関連のセミナーも多いです。

それらを駆使して、自分で指導法を確立することも無理ではありません。

私も個別指導塾で受験対策授業を担当していますが、塾からのノウハウ共有や教え方の指導などはほとんどありません。どの先生も、自己流でやっています。

自分の強みを活かす

あなたが「日本の教育課程で学んだ人」であれば、帰国生である生徒がこれまで学んできたことと自分の経験とを比べ、他の日本人との違い=生徒自身の「強み」を見つけることができます。

また、スケジュール管理出願条件を調べたり、出願(願書作成や封筒の書き方など)を手伝うこともできます。

帰国生は語学力協調性に長けている場合が多いですが、思考力や表現力は一般的な高校生とあまり変わりません。

特に日本語の「固い書き言葉」に慣れていない場合が多く、適切な語彙や表現を提案したり、書類の書き方を指導する必要があります。

また、ほとんどの帰国生が「日本式の面接試験」を初めて経験するので、面接の所作や心構えから教える必要もあります。

そういった部分で、サポートできることがたくさんあるのです。

小論対策・志望理由書作成

私が参考にした、小論文志望理由書対策本を紹介します。

当時は留学生に対して使用していましたが、日本人向けに書かれた本です。

ステップバイステップで解説されており、もたくさん載っている、しかも動画付きです。

教師が、小論文試験や志望理由書に対する教え方書き方を学ぶのにもお勧めです。

EJU対策

EJUは留学生版共通テストです。教えるにはそれなりの専門性が必要になります。

大学受験レベルとはいえ、特に理科総合科目(社会)・数学は出題範囲も広く、かなりの専門知識を必要とします。

しかもそれを外国人留学生に指導する場合は、より平易な日本語で解説する必要があります。

つまりEJU対策クラスは、常に教員不足なのです。まさにブルーオーシャンです。

以前、フツーの社会科塾講師が、EJU総合科目を教えようとしたところ、生徒に「この先生は何もわかっていない」と言われ、担当を外された場面を目にしました。

一般的な学校の教師や塾講師が担える分野のものではないのです。

そこで、留学生にも日本人にもEJUを教えられるようになれば、それはもう重宝されることでしょう!

おすすめ教材

初めてEJUを教えるという先生にもおすすめの教材があります。

去年出版された、アスク出版の「模試と解説」シリーズです。

私は「読解・記述」と「聴解・聴読解」を持っています。

模試と“解説”と言うだけあって、解説が詳しいのが特徴です。

学生にとってわかりやすいだけでなく、教師にとっても教え方のポイントがわかる、非常にありがたい参考書です。

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多言語サポート

日本語教師の中には、多言語(とりわけ英語)ができる先生も多いです。

※日本語教師が全員英語ができるわけではありません。残念ながら私は何語もできません。

「帰国生入試」では、受験生の英語力を測るために英語で面接が行われたり、英語での書類記入が求められたりする場合もあります。

語学が堪能な先生は、そういった面でもサポートできるのではないでしょうか。

録画&資料の提供

さあ、興味が湧いてきましたか?

EJU指導の知識・技術を身につけて、外国人留学生だけではなく帰国生のサポートもしたい!と思ったあなた、今がチャンスです。

多分、日本語教師の中で大々的にそれをやっている人は、まだ誰もいないと思います。

帰国生のご家庭は、駐在員のご一家か、子どもを留学させられるくらい経済力があるご家庭です。

レッスン料金の単価も高いです。私は、オンライン個別指導塾で1コマ(60分)2500円で受験対策授業を担当しています。

これに塾へのマージンが上乗せされての請求になるでしょうから、親御さんは(日本語レッスンの平均単価と比べて)かなり払っているものと考えられます。

中抜きが発生しないフリーランス教師との直接契約なら、親御さんも授業料が抑えられて、win-winなのではないでしょうか?

大学受験とEJU

EJUについてもっと詳しく知りたくなったという方は、ぜひ以下の有料記事をご覧ください。スライドは54ページ、録画は1時間24分です。

2023年4月に行った、「大学受験とEJU」セミナーの録画および資料(スライド)を共有しています。2020年に行われた大学入試改革の内容についても説明しているので、大学受験全般に詳しくなれると思います。

その他、ご相談や授業依頼などがあれば、↓メンターセッションをご利用ください。

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