2022年11月から、オンラインに特化した日本語教師養成講座「オンライン日本語教師サポートプログラム」の運営を始めました。
この記事では、マスターテクストアプローチを使って会話の授業の実践経験を積む、「実践実習コース」での実践を共有します。
実践実習コース
2023年7月から、「実践実習コース」の運営を始めました。
そのコースでは、マスターテクストアプローチを使って、会話の授業を行なっています。
毎週授業担当者を決めて、集客から授業実践、振り返りまでを行うコースです。
月額会員制のサブスクリプションサービスなので、いつでも入会・退会が可能です。毎月説明会も開催しています。
授業の概要
ここからは、実際に行った授業の概要についてご紹介します。
参加対象の学習者
「実践実習コース」で授業を行う際には、授業者個人のつながりを活用するとともに、「あいうえお」が運営する日本語学習者向けオンラインコミュニティ「邑-you-」を集客の場として活用することができます。
「邑-you-」に参加している学習者は、現在200名ほど。(2023.8.)
レベルは初級から上級まで幅広いですが、このレッスンの対象になるのは初級〜初中級レベルの方です。
文法や語彙等はすでに学んでおり、「会話」の練習がしたいという学習者を対象にしています。
ですので教師は、文法等を「教える」必要はありません。
どうすれば学習者のアウトプットを促せるのか、より楽しく、より自然な日本語を身につけられるのかを考えることに集中することができます。
この会話レッスンでは、学習者に日本語を学ぶ機会を提供するだけではなく、教師の顔を売るきっかけにもなればという意図もあります。
将来的にはこの会話レッスンを「受講生自身の商品」にして、独り立ちができるように、授業のやり方だけではなく潜在的な顧客作りや集客の場としても当コースを活用してほしいです。
レッスン予約受付方法
レッスンの予約にはCalendlyというツールを使っています。基本機能は無料です。
あらかじめ授業者の空いている時間を登録し、学習者とマッチングすれば好きな時間でレッスンをすることができます。
「実践実習コース」内ではCalendlyの使い方マニュアルを共有しているので、それを見ながら簡単に登録・運用することができます。
レッスン内容
「実践実習コース」では、「はなそう!みなとにほんご」を使って、Unit1から授業しています。
レッスン時間は25分で、オープニングとクロージング用のスライドもコース内で共有しています。
テキストの各課には2-4のマスターテクスト(モデル文)がありますが、25分のレッスンで全てを扱うのは時間的に難しいです。
また、マスターテクストだけを練習していても、すでに初級文法や語彙は既習の学習者にとっては「つまらない授業」になってしまう可能性があります。
マスターテクストでの「練習」はそこそこに、学習者自身のことを話す「会話」や、教師オリジナルの応用練習(活動、アクティビティ)を入れると良いでしょう。
基本的な授業
マスターテクストアプローチに不慣れな方は、まずは基本的な授業の進め方の習得から始めることをお勧めします。
絶対にコレ、という決まった教え方があるわけではありませんが、いくつかのフォーマットはあります。過去の記事ではそれを共有していますので、参考にしてください。
Unit1
今回はUnit1「自己紹介」について実践共有します。
実施内容
私はUnit1の授業を担当し、予約してくれた2人の学習者さんとレッスンしました。2人の学習者さんで授業内容を若干変えましたので、ご紹介します。
まず1人目の方には、イントネーションの指導を取り入れました。
英語圏の方は、上級になってもどうしても「英語っぽさ」が抜けなかったりするので、イントネーションや発音の指導は喜ばれます。
※私は発音指導に関してはど素人ですので、高度な指導法などは一切できません。気になったイントネーションを指摘する程度です。
2人目の方は発音にそれほど問題がなかったので、ディクテーションと「私は誰?」の問題作成をしてもらいました。
初中級レベルの方にとっては、「自己紹介」や名詞文は既習な上にありきたりなトピックですので、一生懸命マスターテクストを練習するより、それを使ったアクティビティを行う方が良いと考えました。
「実践実習コース」のように、同じ課を別の学習者さんに、複数回授業をするチャンスがあれば、やり方を変えたり色々試すことができるので、それはこのコースのメリットだと思います。
日本語学校などで同じ課をやりたいと思っても、その機会は早くても半年後ぐらいになってしまいます。
学習者からのフィードバック
私は、授業に参加してくれた学習者さんに事後アンケートをお願いしています。いただいた感想とフィードバックを共有します。
もっとビジュアル教材があるとよかった(私にとっては問題ないけど…)。
最初に自己紹介をし、それからレッスンとアクティビティを行う。そして、レッスンを終える前に、セッションで学んだ単語を使って、もう一回自己紹介をするといいと思う。
二人とも英語で書いてくれていたので、DeepLさんの意訳になっている部分があるかもしれませんが…。
こうしてハッキリ改善点を書いてくれるので、とてもありがたいです。まだまだ改善の余地がありますね!
授業録画共有
↑は、日本人向けに模擬授業をした際の録画です。
以下では、実際に2人の学習者さんと授業をした時の録画を共有しています。
1人目の録画は16分で、2人目の録画は27分です。
※授業内容に関係のない個人的な話をした部分はカットしてあります。
アウトプットやコミュニケーション重視の、教師が「教えない」授業の雰囲気を感じてもらえたらと思います。
何か、皆さんの授業へのヒントを得てもらえれば嬉しいです。
※「実践実習コース」では、こちらの2本の動画に加えて、他の方の授業実践や資料など、多数のコンテンツが閲覧・利用可能です。コースへの参加を検討されている方は、↓記事のご購入よりもコースに参加していただいた方が断然お得です。