【オンライン日本語教師】会話の授業、どうやってますか?

オンライン授業
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オンライン日本語教師のみなさん、こんにちは。

突然ですが、学習者さんから「会話の練習がしたい!」という依頼を受けたことはありませんか?

会話のレッスン」やってみたい!でも、何をすればいいの?

そんな方には、マスターテクストアプローチがおすすめです!

会話レッスンとは

ひとくちに「会話の練習がしたい」と言っても、実は学習者にはさまざまなニーズがあります。

会話レッスン=これ、と決めるのではなく、どんな学習者にどんな方法やトピックが合うか、教師がその引き出しをたくさん持っていると、レッスンの幅がぐんと広がります。

まずは学習者さんのニーズの調査と、それに応えるためのレッスン内容を考えていきましょう。

ニーズ分析

「会話の練習がしたい」と言う学習者さんのニーズは、実にさまざまです。

トライアルレッスンや事前のやり取りなどで、なぜ「会話」なのか会話レッスンで具体的にどんな練習がしたいのか、会話の練習をしてどうなりたいのか、をしっかりヒアリングしておきましょう。

「会話の練習がしたい」学習者さんには、例えばこんなニーズが考えられます。

  • 配偶者(日本人)や家族、日本人の友達と、日本語でコミュニケーションが取れるようになりたい
  • 独学で勉強してきたことがネイティブに伝わるのか、試してみたい
  • 日本人のように話せるようになりたい(表現、発音、流暢さ)
  • 聞いて理解することはできるけれど、自分の言いたいことが日本語で伝えられない
  • 日本人同士の会話が聞き取れない、雑談に混ざりたい

全て同じレッスン内容では、それぞれのニーズに応えることは難しいです。

また、日本在住か海外在住か(生の日本語に触れる機会・頻度)や、学習者が日常的に日本語を使う環境にあるのかどうか、普段の勉強方法目標達成までに残された時間なども、レッスンを組み立てる際のヒントになります。

会話レッスンの種類

「会話授業」といっても、その内容や方法もさまざまです。

  • フリートーク、雑談
  • お店や会社などでのやり取り
  • ディスカッション、意見交換
  • プレゼンテーション、発表、質疑応答
  • ロールプレイング

教師が得意とする分野があったり、学習者さんからの明確な要望(使いたいテキストやシチュエーション)などがあればいいのですが、毎回そうとは限りません。

日本人なら誰でもフリートークはできるだろう!

と考え、とりあえず「フリートーク」のレッスンを設定するオンライン教師も多いです。

しかし私は、フリートークのレッスンが一番難しいと思っています。

なぜなら、「フリーなトーク」で価値を提供することは想像以上に難しいからです。

有償のレッスンで、自由な会話を通して価値を提供し続け、学習者さんからお金をもらい続けるのは、実際かなりハードです。

我々は「日本人の友達」ではなく、プロの「日本語教師」です。

教師として、フリートークでどんな価値を提供できるのか、これは私の永遠の課題です。

そんなわけで、完全にフリーなトークではなく、何か指針になるようなものがあって、必ず学びを提供できるようなレッスンであれば、お互いにメリットがあるのではないかと考えました。

教材紹介

時は遡ること2021年11月27日…。

「大阪YMCA 日本語教育センター 1周年記念特別セミナー」に参加しました。

『市民性』を育む地域日本語教室のためにー対話を促すツールとしての日本語教材ー」というタイトルで、その講演を拝聴しました。

そこで紹介されていたのが、「きいて まねして はなしてーわたしたちが語る20のエピソードー」というテキストです。

もともとこの教材の存在は知っていましたが、中身や使用例を見聞きしたのは、この時が初めてでした。

テキストの特徴

このテキストは、2019年度「生活者としての外国人」のための日本語教育事業 地域日本語教育実践プログラム(A) 作成教材として、大阪府教育委員会が作成したものです。

大阪大学名誉教授の西口光一先生が提唱する、マスターテクストアプローチを取り入れた教材となっています。

※マスターテクストアプローチについては後述。

テキストの特徴は以下の通りです。

  • インプットとアウトプットの繰り返しで、入門期の学習者に必要な語彙や表現を負担なく学習できる
  • イラストを活用することで、教師が「説明」する必要がない
  • テーマや場面ごとに必要な表現を学べる
  • モデル文を使って、入門期でも自分のことが言えるようになる
  • 「ユニット1」で一つのことができるようになる

特にいいのは、教師の「説明」がいらない、という点です。

語彙や表現に対応したイラストがあるので、教師があれこれ説明しなくても、学習者は理解することができます。

この点は、経験の浅い教師やボランティアさんにとっては、非常に使いやすい教材になっていると思いました。

教案や副教材なども必要なく、基本的にはテキストのみで授業を進めることができます。

マスターテクストアプローチとは

大阪大学名誉教授の、西口光一先生が提唱している教授法です。

テーマについて、自分の話しができるようになることを目標とした自己表現活動中心のアプローチです。

テキストには、各テーマについて、複数人の登場人物の話(=マスターテクスト)があり、学習者はそのマスターテクストを覚えながら語彙や表現について理解していきます。

最終的にはそのマスターテクストをモデルに自分の話ができるように、練習を行います。

学習者は自己表現ができるようになると同時に、文型・語彙も習得することができます。

テキストの構成

きいて まねして はなしてーわたしたちが語る20のエピソードー」のテキストの構成は以下の通りです。

  • 教室のことば、文字など
  • パート1「はじめてのにほんご」(ユニット5つ)
  • パート2「わたしのにほんご」(ユニット20こ)
  • パート3「会話のにほんご」(ユニット5つ)
  • スピーチしましょう
  • 資料(数・数え方・時間・カレンダー・家族・疑問詞)
  • 活動の手引き(学習支援者向け)

文字が定着していない学習者のために、パート2のローマ字版も用意されています。

パート2(ユニット6から25)の「語り文」(マスターテクスト)の音声教材もあります。

授業例

とはいっても、じゃあ実際にこのテキストを使ってどうやって教えるの?という部分が1番気になるところだと思います。

動画

まずはこの動画をご覧ください。

この動画は、YouTubeで動画学習をしている学習者向けに作ったものですが、一度ご覧いただければテキストや授業の流れを把握することができるのではないかと思います。

相手がいる授業ではまたちょっと違ってくるとは思いますが、テキストや授業の流れは同じです。

  1. ことば(語彙の確認)
  2. マスターテクスト(教師がモデル文を音読)
  3. イラスト(教師がモデル文を音読しながら、イラストで意味を示す)
  4. マスターテクスト(教師の音読に続いてリピート)
  5. マスターテクスト(学習者が一人で音読)
  6. イラスト(学習者がイラストを見ながらモデル文を言う)
  7. モデル文の内容に関する質問
  8. 学習者自身に関する質問
  9. 話す/書く
  10. 文法

学習者は、4や5のときに聞いた音(教師の音読)を何度もリピートして、流暢に言えるように繰り返し練習します。

動画では456の部分はカットしてありますが、相手(学習者)がいる場合には取り入れてください。

5までで、学習者がモデル文を一人でスラスラ言えるようになるくらい、練習します。

そうしたら次は6で、イラストだけを見て、学習者がモデル文を復元(再生?思い出し?)しながら言います。

※このとき、多少の間違いは許容範囲です。文意が通れば、語順や語彙などはあまり咎めません。

7の内容質問は、テキスト上にありますのでご参照ください。

9では、モデル文を参考にしてある程度長い文章で自分のことを言う練習をします。

その場で話すことが難しい場合には、作文(書く)の宿題にして、後日添削してもいいでしょう。

スライドの共有

動画内ではGoogle Jamboardを使用していますが、元データがどこかに行ってしまいました;

代わりに、Googleスライドで作成したものをここに置いておきます。

こちらの方が詳しいので、初めての方には使いやすいかな?と思います。

必要な方はコピーして、お使いください。

補足

各課の最後に、6「ちょっと文法」というセクションがあり、その課で出てくる文法がまとめられています。

ただし文法解説や練習問題などはテキストにありませんので、解説や練習が必要な場合には、教師が別に用意する必要があります。

実践練習の場

このマスターテクストアプローチを使った会話授業の練習をする場所として、「オンライン日本語教師サポートプログラム」では、「実践実習コース」を開講します。

私は現在、オンライン日本語教師養成講座として「オンライン日本語教師サポートプログラム」を運営しています。

これまで、基本的な授業の作り方を学ぶ「基礎実習コース」を第3期まで開講し、修了生25名を輩出しました。

しかし、「基本的な授業が作れる」ようにはなっても、これですぐにでもオンライン教師としてデビューできる!とはならないと感じました。

理由は、圧倒的に実践経験が足りないからです。そこで、実践経験を積む「実践実習コース」を考えました。

実践実習コース

「オンライン日本語教師サポートプログラム」は、4つのコースからなるオンライン日本語教師養成講座です。

その内の一つである「実践実習コース」を2023年7月から開講します。

コースの目標

初級文法の全体像を把握し、アウトプット型のオンライン会話授業ができるようになること。

コースの対象者

  • 日本語教育に関する基礎的な知識はあるが、日本語教授経験がほとんどない方
  • 基本的な授業はできるが、さらに教授経験を積みたい方
  • オンライン教師として、他の教師と差別化したい方

コースの内容

  • マスターテクストアプローチを用いた初級の会話授業を行い、授業の実践経験を積む
  • 教材分析の方法やその結果を、みんなで共有する〈情報や経験の蓄積〉
  • 授業内容や改善方法をみんなで考え、より良い授業実践について考える

コースの特徴

なんと言っても、マスターテクストアプローチを使用することです。

「教師が教える」授業ではなく、学習者主体の、アウトプット型の会話授業を行います。

文法の教え方がどうのこうの…というより、授業自体の進め方学習者との接し方を練習していきます。

ファシリテーション能力を身につけ、自信を持って授業ができるように練習し、経験を積むためのコースです。

「基本的な授業はできる」んだけど、「デビューにはまだ踏み切れない」という方の、橋渡し的な存在になればと思っています。

※使用テキストは未定ですが、フリーダウンロードできるものを使用します。

参加資格

必須条件は特にありません。

強いて言うなら、日本語教師養成講座や日本語教育能力検定試験などで、日本語教育に関する基礎的な知識を学んだ、または学んでいることが望ましいです。

養成講座などで学ぶもしくは独学で勉強できるレベルの、基礎的な知識や文法などの解説をする予定はありません。

それらの知識がなく、さらに今後学ぶ予定も意欲もないとなると、「実践」を行うのは難しいのではないかと思います。

こんな人におすすめ!
  • 文法などの知識を授業で使えるようになりたい
  • 学習者を相手に、もっと練習したい
  • 他の教師の授業も見てみたい
  • 授業のフィードバックがほしい
  • 学び続けられる場所に身を置きたい
  • 自分の教え方をアップデートしたい
  • 他の教師とは違うレッスンを提供したい
  • オンラインに特化した教え方を知りたい

参加方法

コース受講者全員で行う全体ミーティングは、毎月第1水曜日の20:30-22:00JSTです。

メンバーの交流会含め、授業の担当決め、教材分析・授業検討会を行います。

※こちらへの参加は必須ではありませんが、初回MTGにてその月の授業者を決定します。

コースの人数制限はありません。

また、当コースは月額会員制のサブスクリプションサービスですので、いつでも登録・解約が可能です。

ご登録を確認し次第、Discordコミュニティへご案内させていただきます。

コース開講まで、コミュニティ内のコンテンツをお楽しみください。

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