オンライン日本語教師に特化した、日本語教師養成講座「オンライン日本語教師サポートプログラム」を運営しています。
4つのコースのうち、文法積み上げ式による基本的な授業ができるようになることを目指した「文法基礎コース」(旧:基礎実習コース)は、現在第4期を開講中です。
ワークショップの日程が合わなかった、もしくは非同期型のE-learning教材で学びたいという方向けに、その内容をブログ連載として公開しています。今回はその2回目です。
※このブログは、講義動画の台本も兼ねています。講義動画の内容とブログの内容(文字)は、ほぼ同じです。動画はブログ中ほどで公開しています。お好きな方をご活用ください。
目標
「オンライン日本語教師サポートプログラム 文法基礎コース」第2回講義動画では、文法分析と教案について学んでいきます。
この回の目標は以下の通りです。
- 文法分析の意義とその方法を理解する
- 基本的な教案の作り方を理解する
- 教案作成を通して、基本的な文法授業の流れを理解する
目次
今回の講義動画では、以下の内容について学習します。
- 文法分析の意義とその方法
- 文法分析から授業へ
- 教案の書き方
- 課題「授業の教案起こし」
文法分析の意義とその方法
まず初めに、文法分析の意義とその方法について学んでいきましょう。
1本目の講義動画では、教材分析について学びました。以下の6つの項目について、教材分析を行いました。
- 教科書の学習目的
- 日本語のレベル
- 対象者
- 全体の構成、各課の構成
- 学習項目
- 練習問題の内容や量
これらの教材分析を通して、どんな人に向いている教材なのか、どのような使い方が効果的なのか、どんな順番で何を教えればいいのか、ということを理解することができたと思います。
さて、今回は学習項目について詳しく見ていきたいと思います。
「みんなの日本語」第5課には、このような学習項目があります。
- N(place)へ 行きます/来ます/帰ります
これが“文型”ということになります。「N」は名詞(Noun)の頭文字です。
名詞は名詞でも、Place=場所を表す名詞が入ります。そして「〜へ行きます/来ます/帰ります」と続きます。
では、この“文型”に従って作った、「帰ります」の例文を見てみましょう。
「コンビニへ帰ります。」「銀行へ帰ります。」
このような文は、正しいですか。「コンビニ」も「銀行」も、場所を表す名詞です。
ということが言えます。
このことから、「意味的に正しい文にするには、形だけではない何かしらの制約がある」ということがわかります。
その制約を調べるために、文法分析をしていきます。
分析内容
文法分析では、以下の点について分析します。
- 意味
- 使い方
- 形、接続
- 類似表現との違い
- 指導のポイント、注意点
「使い方」というのは、その文法を誰が誰に、どんな状況で使うのか、ということです。
「形、接続」というのは、動詞の活用形(て形・た形・ない形等)や、共起する語彙(コロケーション)などが当てはまります。
それではここで、「みんなの日本語」第2課、これ・それ・あれを例にとって、文法分析をしてみたいと思います。