私は2021年から、オンラインに特化した日本語教師養成講座「オンライン日本語教師サポートプログラム」を運営しています。
4つのコースのうち、文法積み上げ式による基本的な授業ができるようになることを目指した「文法基礎コース」(旧:基礎実習コース)は、現在第4期まで開講しています。
ワークショップの日程が合わなかった、もしくは非同期型のE-learning教材で学びたいという方向けに、全4回の連載として、ブログでその学習内容を公開しています。
※このブログは、講義動画の台本も兼ねています。講義動画の内容とブログの内容(文字)は、ほぼ同じです。動画(50分)はブログ中ほどで公開しています。お好きな方をご活用ください。
目標
「オンライン日本語教師サポートプログラム 文法基礎コース」第4回講義動画では、教材作成について学びます。この回での目標は以下の通りです。
- 教案、教材を作るときに気をつけるべきことがわかる
- 授業の際に気をつけるべきことがわかる
目次
今回の講義動画では、以下の内容について学習します。
- 教案完成に向けて
- 授業TIPS
- 教材作成
- 課題「教材作成」
現在、皆さんの教案は60%くらいの完成度だと思います。これを80%、そして100%の完成度にしていくために、必要なことを学んでいきましょう。
教案完成に向けて
教案の完成に向けて、前回の課題(授業案)からいくつか付け足さなければならない部分があります。そこを補強していきましょう。
ウォームアップ
前回の課題で作成した授業案の内容は、文型導入・練習・活動の3点でした。今回はそこに、ウォームアップを付け足していきましょう。
ウォームアップでは、学習者とのアイスブレイクを含め、文型導入の話題に関するスモールトークを行います。スムーズに文型導入に入れるよう、授業の流れを作りましょう。
例えば、「太郎は今、ご飯を食べています」という導入文を使って、現在進行の「ています」を導入する場合を考えてみましょう。
ウォームアップの内容は、以下のようになります。
(あいさつ、自己紹介など)
Sさんは、どこに住んでいますか。
今、そちらは何時ですか。
もう(朝/昼/晩)ごはんを食べましたか。
何を食べましたか。
私は○時に食べました。でも息子はまだです。
私の息子は、○時に(起きました/帰りました)。
太郎は今、ご飯を食べています。(太郎=息子)
※もちろんそれぞれの投げかけに対して学習者の反応があるわけですが、今回それは省略します。
初めは、何気ない日常会話を装って学習者の話を聞くところから始めましょう。そして、次第に教師が用意した話に持っていき、導入として用意した文脈につなげ、そのまま導入文を提示します。
初めに学習者自身の話を聞き、「時間の話かな?」「ご飯の話かな?」とスキーマを活性化させておきます。導入の文脈に関する話題を先に振っておくことで、教師が事前に用意した導入のための文脈も、違和感なくスムーズに理解することができます。
これがないと、ウォームアップと文型導入につながりがなく、「なぜ今その話をするの?」と不自然な流れの授業になってしまいます。ウォームアップと文型導入、そしてその例文などが、それぞれに独立したバラバラなものになってしまのは、初任教師にありがちなことです。
しかし、ウォームアップから導入につなげやすい文型/つなげにくい文型というのもあります。その場合は、臨機応変に対応しましょう。
時には、ウォームアップの雑談と「授業」をはっきりと区別することで、授業にメリハリを持たせることもできます。学習者は「ここまでがおしゃべりで、ここからが勉強なんだ」と、頭の中でスイッチを切り替えることができるというメリットもあるのです。
扱う文型や学習者の様子に合わせて、工夫しましょう。