どんなレベルでも個人化!授業準備10分の日本語会話レッスン♪

マスターテクストアプローチ
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2023年7月から始めた「オンライン日本語教師サポートプログラム 会話実習コース」では、マスターテクストアプローチを使った会話授業の実践を行っています。この記事では、授業実践(第5課)の内容を共有します。

会話実習コース

このコースでは、マスターテクストアプローチを使って会話の授業を行なっています。毎週の授業担当者を決め、集客から授業実践振り返りまでを実践し、教師一人一人が教授経験を積んでいます。

他のメンバーの授業実践(録画)が見られたりフィードバックがもらえること、教師同士のつながりを作り学び合いができることが魅力です。

月額会員制のサブスクリプションサービスなので、いつでも入会・退会可能です。

会話基礎コース

実践に繋げるための基礎知識を学ぶ講座として、「会話基礎コース」の運営も始めました。2Daysのワークショップなので、スキルアップにあまり時間を取れないという方も学びやすい構成になっています。

会話授業ではどんなことをするのかマスターテクストアプローチとは何なのかという理論から、実際に会話授業を行ってみる模擬授業(実践)までを2日間で学びます。

会話授業やマスターテクストアプローチの考え方を学び、普段の授業にそのエッセンスを取り入れるもよし。「会話実習コース」に参加して、実際の学習者への教授経験を積みながら、更なるスキルアップを目指すもよしです!

Unit5の実践

ここからは、会話授業の実践内容を共有していきます。この記事の内容は、私の個人的な授業実践についての報告です。

会話実践コース」では「はなそう!みなとにほんご」を使って、メンバーそれぞれが会話の授業を実践しています。それぞれの実践については、「会話実習コース」のコミュニティ内で共有されています。

教材分析

今回はUnit5「週末にしたことについて話す」についての授業内容です。

注意点

Unit5では、動詞の過去形・過去否定形、形容詞の過去形・否定形・過去否定形、形容詞の名詞修飾が学習項目となっています。「週末にしたこと」がテーマなので、過去形を使った表現が中心になります。

学習者自身の週末の話をする際には、動詞だけではなく、形容詞(過去形・否定形・過去否定形)も使うようにファシリテートできるといいと思います。動詞や形容詞にこだわるのではなく、「(それは)どうでしたか」と聞いて、自然に引き出せるようにしたいです。

授業案

以下は、25分レッスンの授業案です。

  • 自己紹介、タイトルと目標を確認
  • 「週末/昨日、どこに行きましたか。何をしましたか。」
  • イラストを見ながら、マスターテクストの音声を聞く
  • マスターテクストに関する内容質問
  • スクリプトを見ながら、教師の後に続いてリピート練習
  • 学習者が一人で読む ※発音指導
  • イラストだけを見ながらディクトグロス
  • マスターテクストを参考に、学習者の週末について会話しながら文章作り
  • 作った文章を一人語り
  • 質問受付・まとめ(今日学んだこと)

最後に、出来上がった文章を読んでもらい(一人語り)、「一人でもこんなに自分のことが話せるんだ!」と実感してもらう、という流れがやりやすいです。

テクストを読んで終わり、自分の話をして終わりではなく、学習者にとって+1になることを持ち帰ってもらえるように意識しましょう。+1は、新しい語彙や文法の場合もあれば、発音の修正や日記調にして”書く”こと、スピーチの仕方や日本に関する情報など、学習者にとっての新しい気づきそのものです。

文型を教えようとか、テクストの内容を網羅しなければとか、そういう考えは捨てた方がいいです。私は今の学習者に足りないもの」を教師からの+1によって補い、学習者に経験値を与えるという考え方でやっています。進化するかどうかは学習者次第、教師が何かを“教えよう”としないことがポイントです。

内容質問例

イラストを見ながらマスターテクストの音声を聞いた後、その内容がきちんと理解できているかを確認するために「内容質問」を行います。

※テキストの中にも質問例がありますが、数が限られているので追加での検討が必要です。

アルンさん佐藤さん
・先週の土曜日、アルンさんはどこに行きましたか。
・誰と行きましたか。
・夜の東京タワーは、どうでしたか。
・日曜日、アルンさんのお母さんは何をしましたか。
・佐藤さんは土曜日、どこに行きましたか。
・友達と何をしましたか。
・何を飲みましたか。
・飲み物(ビール)はどうでしたか。
・他に友達と何をしましたか。
・土曜日はどんな夜でしたか。
・どうしていい夜でしたか。

活動案

会話実践コース」のメンバーさんが実践された内容については、コースの中で共有しています。この記事では、私が個人的に行った授業(アイディア)について共有します。

日本旅行

アルンさんのテクストを参考に、学習者の「私の日本旅行」を思い出しながらブレインストーミングをする。日本にまだ行ったことがなければ、旅行の際に行きたいところやしたいことをアイディア出し。(3分間でキーワードをリストアップ)

教師が、いつ、どこに誰と、何をした、どうだったなど質問をしながら、さらに深めていく。(教師は聞きながらメモ)出てきたキーワードをつなげて、文章におこす。(時間やレベルによって、作文の宿題にするのも◎)

週末

佐藤さんのテクストを参考に、自分が週末したことを3分間でノートにリストアップ。学習者のレベルによって、語彙単位(キーワード)か文章で書くのかを指示すると良い。

教師が、いつ、どこに誰と、何をした、どうだったなど質問をしながら、さらに深めていく。(教師は聞きながらメモ)出てきたキーワードをつなげて、文章におこす。(時間やレベルによって、作文の宿題にするのも◎)

実践内容

ここからは、私の具体的な実践内容を共有していきます。

25分レッスン

↑こちらは授業で実際に使った(書いた)ノートです。

こちらの学習者さんは、日本語初中級レベル(N3)のウズベク人で、3年間の日本での就労経験があります。こちらの学習者さんとの授業録画(29分)は、ブログ下部にて公開しています。

50分レッスン

こちらは1コマ50分の、1対1のプライベートレッスン(オンライン)での実践例。

↑こちらは授業で実際に使った(書いた)ノートです。↓

こちらはN1取得済みの、中国人学習者さんです。文法や読解能力は高いですが、アウトプットの量が極端に少ないため、会話レベルはN4-3くらいです。

50分レッスンなので、Unit1ページ目の語彙で話を広げたり、テクストを2つとも使うなどしてじっくり学習しています。内容の理解というより、テクストの内容をヒントにして、学習者本人が話したいこと聞きたいことをアウトプットする時間、といったイメージです。

この時は2つ目の活動案、佐藤さんのテクストを参考にして自分の週末について書くアクティビティを行いました。

その場でノートに書きだしてもらい(約3分)、カメラにノートを映す→私がzoom画面をスクリーンショットして、その画像をGoodNotes5に貼り付け添削、という流れで行いました。

同時に私が書いたノートも共有し、学習者さんが色々聞いてくれました。

「(スーパーに売っている普通の食用の)トマトを買いました」だと思ったらしく、「それを植えた!?」と驚いていました。私は「トマトの苗を…」と書かなければなりませんでしたね;

お互いに“自分の話”をしているからこそ起こる、インフォメーションギャップです。これぞ、コミュニケーション!

感想

週末にしたこと」はどんな週末を過ごそうと話せるテーマなので、扱いやすいです。レベルを測るためのトライアルレッスンなどでも使いやすい課だと思いました。

テクストの確認はできるだけサッと終わらせて、「学習者が週末にしたこと」を話すことにできるだけ時間を多く取りたいところです。逆に、本当に初級レベルの場合は欲張らずに、2つのマスターテクストの練習(聞く・読む・内容質問)だけでも十分かもしれません。

授業録画の共有

以下では、初中級レベルの学習者さんとの授業録画(27分)を公開しています。マスターテクストアプローチや会話授業の参考になれば幸いです。

※「会話実習コース」では、他の方の授業実践や資料などを公開・共有しています。コースへ参加していただくと、より一層学びが深まること間違いありません!

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