この度、ずっとオンラインで教えていた方たちがいよいよ来日されるということで、日本で暮らすために必要な知識を学ぶための講座(授業)を行いました。
これから観光客や日本に働きに来る人がますます増えることが予想されます。
日本語の文法や試験対策ではなく、「日本で暮らす/日本旅行に行く」ための日本語や知識に関する授業・講座の需要が高まってくるのではないでしょうか。
そんなニーズに応えたい日本語支援者のみなさん、ぜひ使ってください。
授業の概要(背景)
※以下、「日本で暮らすための基礎講座」を「授業」と呼びます。
日本企業に勤務する外国籍社員の方々が、来日することになりました。これまでは国からリモート勤務をしていましたが、これからは日本の本社で働きます。
学習者のみなさんは、コミュニケーション能力が高く、日本語での日常会話は問題ありません(CEFR A2レベルくらい)。しかし日本に来ること自体が初めてなので、私の授業では日本の文化や習慣を中心に取り上げ、来日後のギャップが最小限になるように意識しました。
受講中に2名、受講終了後に3名が来日予定です。来日後に困ったことや、もっと知りたいことなどもヒアリングし、授業の中に取り入れていきました。その結果、全16回の授業が出来上がりました。
※初めから16回で組み立てたわけではなく、要望に応えながら作っていったら16回になったということです。
授業形態
- オンラインレッスン(zoom使用)
- 日本企業の外国籍社員を対象にしたグループレッスン
- 週4コマ実施
- 各レッスンは1時間
- 宿題なし
- 授業後、資料(スライドと授業録画)の共有あり
- 学習者はPCから参加
- 全員カメラオフ
学習者
- 計10名(仕事の都合によりランダムで出席)
- 日本語レベルJLPT N5〜N3
- 会話レベルはCEFR A2以上 ※私の主観です
- 日本語学習歴約3年
- 英語話者
- 就労者
- イスラム教徒(豚肉、酒NG)
- 全員今回が初めての来日
全員英語母語話者ではありませんが、ある程度英語がわかる方々なので、PPTには一部英訳をつけてあります。授業では文化を理解することを重視しているので、文法の説明は一切していません。既習の文法だということもありますが、「いろどり」の「文法ノート」を使って、わからないところは自学してもらっています。
※以上が、私が今回対象にした学習者の情報です。授業や資料は、それ以外のレベル・所属・母語などの方にも使える内容だと思います。
使用教材
メインテキストは「いろどり」です。その他YouTubeや観光紹介等のwebページ、官公庁が出している冊子(PDF)など、さまざまなリソースを使用しています。詳しくは各スライドにリンクが貼ってありますので、そちらをご確認ください。
カリキュラム
1時間×16回
h | いろどり該当課 | タイトル | can-do |
1 | 入門L6 | お店で注文 | お店で注文することができる。 |
2 | 初級1L11 入門L16 | 食品表示と買い物 | 食品表示を見て、食べられないものが入っていないかを確認することができる。 |
3 | 入門L13 | 電車の乗り方 | 電車の乗り方とそのマナーがわかる。 |
4 | 初級2L13 | 交通ルール | 交通ルールを理解することができる。 |
5 | 入門L7 | 機械の使い方 | 機械の使い方とそのマナーがわかる。 |
6 | 入門L18 | お風呂とトイレ | 日本でのお風呂とトイレの使い方を理解することができる。 |
7 | 初級1L15 | 病院 | 病院で、自分の症状を簡単に伝えることができる。 |
8 | 初級1L15 | 薬局と薬 | 薬局で薬をもらうことができる。 |
9 | オリジナル | 健康診断 | 病院で健康診断を受けることができる。 |
10 | 初級2L15 | ごみの分別 | いつごみを捨てれば良いかがわかる。 |
11 | 初級2L15 | ごみの捨て方 | ごみの捨て方がわかる。 |
12 | 初級2L16 | 災害アナウンス | ニュースやアナウンスを聞いて、何があったか、何をすればいいかを理解することができる。 |
13 | 初級2L16 | 避難訓練 | 防災訓練の説明や指示を聞いて、やり方や注意点などを理解することができる。 |
14 | 初級2L16 | 地震 | 地震が起こったときどうすればいいか、説明を聞いてだいたいの内容を理解することができる。 |
15 | 初級2L16 | 防災 | 災害に備える方法を理解することができる。 |
16 | オリジナル | 生活マナー | 日本の生活で気をつけるべきマナーを理解することができる。 |
全16回の授業は、全て1回完結型です。トピック的につながりのある回はありますが、前後の回を受講していなければ全くわからないということはありません。学習者のニーズに合わせて、必要なところだけを扱うことができます。
授業用スライド
全16回の授業用スライドを、これから4つずつ、4本の記事に分けて投稿していきます。
今回の記事では、1〜4までの授業資料(Googleスライド)を共有します。
プレビュー下のダウンロードボタンを押すと、Googleスライドの「コピーを作成する」ページが出てきます。コピー後、ご自由に編集してお使いください。
※実際に授業で使用した後、必要なところは修正してアップしてあります。
お店で注文
食品表示と買い物
電車の乗り方
交通ルール
授業内容やスライド等に関して質問があれば、Twitterにお願いします。Twitterをお持ちでない方は、当ブログの「お問合せフォーム」からでも構いません。次回以降の記事で、回答または補足説明をしたいと思います。
授業録画
以下は、上記のスライドを使って実際にオンライン授業をした際の録画です。基本的にスライドの通りに進めていけば、1時間レッスンができるようになっています。が、スライドを見ても流れや授業のイメージが掴めない、という方は、ぜひ授業録画をご活用ください。
以下では01〜04の授業録画が見られます。4本の動画の平均再生時間は36分です。
※授業の前後(出席をとっているところ)や、学習者がプライベートな話をしている部分などはカットしてあります。
上記のスライドと照らし合わせながら見ていただくと、どこを修正したのかなどがよくわかると思います。スライドと合わせて、参考にしていただければ幸いです。